顎関節症の改善

顎関節症とは、顎関節やあごを動かしている咀嚼筋の痛み、顎関節雑音、開口障害あるいは顎運動異常を主要症候とする障害をとりまとめた病名です。

その中には、①あごを動かす筋肉の痛みを主な症状とするもの(咀嚼筋痛障害)、②顎関節の痛みを主な症状とするもの(顎関節痛障害)、③顎関節の中の関節円板※1のずれが生じるもの(顎関節円板障害)、および、④顎関節を構成する骨に変化が生じるもの(変形性顎関節症)が含まれています。

顎関節症の代表的な症状は、「あごが痛む(顎関節痛・咀嚼筋痛)」「口が開かない(開口障害)」「あごを動かすと音がする(顎関節雑音)」の3つです。

表1. 顎関節症の自己チェック

顎関節症の自己チェック いくつか該当する人は顎関節症の可能性あり

□ 食べ物を噛んだり、長い間しゃべったりすると、あごがだるく疲れる

□ あごを動かすと痛みがあり、口を開閉すると、とくに痛みを感じる

□ 耳の前やこめかみ、頬に痛みを感じる

□ 大きなあくびや、りんごの丸かじりができない

□ ときどき、あごがひっかかったようになり、動かなくなることがある

□ 人さし指、中指、くすり指の三本を縦にそろえて、口に入れることができない

□ 口を開閉したとき、耳の前の辺りで音がする

□ 最近、あごや頸部、頭などを打ったことがある

□ 最近、かみ合わせが変わったと感じる

□ 頭痛や肩こりがよくする

表2. 顎関節症の発症に関わる生活習慣

顎関節症の発症に関わる生活習慣 該当する数が多いほどなりやすい

□ 「歯ぎしりをしている」といわれたことがある

□ 起床時、日中、気がつくと歯をくいしばっていることがある

□ 食事のときは、いつも左右のどちらか決まった側でかむ

□ 物事に対して神経質な面がある

□ 職場や家庭で、ストレスを感じることが多い

□ 夜、寝付きが悪い、ぐっすり眠れない、途中で目が覚める


◆病態生理

顎関節というのは、両耳の前に指を当てて口を開け閉めしたとき、盛んに動く部分です。顎関節は、頭の骨(側頭骨)のくぼみ(下顎窩)に、下顎骨の丸く突きでている下顎頭が入り込む構造をしています(図1)。下顎窩と下顎頭の間には関節円板というクッションの役目をはたす組織があり、下顎窩と下顎頭が直接こすりあわないようになっています。関節円板は骨ではなく、コラーゲンという膠原線維がぎっしりつまっています。この関節円板と下顎頭が正常に移動することによって、口を大きく開けたり、閉じたりすることができるのです(図2)。 これを見ると分かるように、正常では関節円板が下顎頭と一緒に移動しています。しかし、障害がある場合、関節円板がずれてひっかかり、はずれるときに音がしたり、ひっかかりが強くなって下顎頭の動きが妨げられ口が開かなくなることもあります。

こうした関節円板の障害による顎関節症も含めて、顎関節症には4つのタイプがあります。筋肉の障害(I型)、関節包・靭帯の障害(II型)、関節円板の障害(III型)、骨の変形(IV型)の4つです。


◆薬の副作用

具体的には、日中のくいしばり、偏咀嚼の癖などがあることを気づかせ、それらを止める方法を医師が指導し、患者は家庭や職場で意識して行います。症状の改善を自覚できると、セルフケアがさらに強く動機づけられます。セルフケアの基本は、あごを安静にすることと負荷をかけないことです。何もしていないときに上の歯と下の歯が接しているだけでも筋肉に負荷がかかっているのです。日中にくいしばっていることが多い人は、上下の歯の間は離しておくために、ときどき歯の裏側や口蓋部を舌でなめるようにするとか、チューインガムを前歯でクチュクチュ咬んだり、舌で転がすようにするのが効果的です。また、各個人の平均最大開口量である人差し指から薬指まで3本を縦にして口に入れて、筋肉のつっぱり感を感じながら5秒間そのままの状態にしてストレッチするのが大変効果的です。なるべく1時間に1回は行うように務めましょう。温めたタオルで緊張の強い部分を温湿布した後の筋ストレッチはさらに効果的です。

《アロマの使用方法》